嵐山から北西方向に20分ほど走ると、化野念仏寺があります。
その念仏寺の少し手前に、「まゆ村」さんがあります。

「昔の子どもはみんな、囲炉裏端でおじいちゃんやおばあちゃんに、こんなものを作ってもらったものです」

これは、「まゆ村」の村長さんの言葉です。地域性があるので、「みんな」ということばは、「繭を育てている地方の」という前提でしょうが、不思議な事に、そんな経験が全く無い人の胸にも、そのことばがしみる人形があります。

販売されている作品は、写真の素人の私が撮影したため 実物の良さをあまり表していません。でも、素的な人形の雰囲気の一端をお伝えする事はできると思います。でも、写真だけではなく、機会があればぜひとも一度実物をご覧下さい。

本ページを作成するに当たっては、まゆ村様に何度も無理をお願いしましたが、その都度 快く引き受けてくださいました。

まゆ村に行かれたら、人形の素的さに加え、まゆ村さんのスタッフの方の優しさにも、ぜひお触れ下さい。

※写真はクリックすると、大きくなります。



素的だと思われませんか。独特の、強烈な印象を受けるお店です。
私が初めてここに来た時に、強烈なイメージを受けて立ち止まると、
どこからかお香の匂いが流れてきました。
その時のことを、私はサイトに「心の紐がほどけた」と書き込みました。



このお店を見た時の感激を職場の人に熱っぽく話しました。でも、反応はそれほど良くありませんでした。
だれも、ここを訪れたことがなかったからです。
「見たら分かる」逆に考えると、「見なければ決して分からない」。これが結論だと思いました。
ぜひ一度、「まゆ村」を訪問し、その感激を味わってください。



この「下のお店」は間口は広くないのですが、ここの上にもっともっと大きなお店があります。



「下のお店」から坂をほんの少しだけ上がると、ここに来ます。
説明を読んでいると、時間が経つのを忘れそうになります。



階段が見えます。ここを登ると、「上のお店」に行けます。



反対側にも階段があります。
私は、1回目の訪問時には何だか緊張して、この階段を登れませんでした。
でも「いつかスタッフの方にお話を聞きたい」と強く思って、帰宅しました。
2回目に行った時には、思い切って階段を登ることができました。



「上のお店」が見えてきました。
絶妙な、何とも言えない いい雰囲気です。



着きました。
中は、メルヘンあふれる別世界でした。



お店の中に入りました。
多くの素的なまゆ人形が、迎えてくれました。



それほど広くはないお店ですが、なぜか、心が広く広くなりました。



お店の中には、低い高さの腰掛があります。「低い」ゆえに、誰でも安心して座る事ができます。
おいしいお茶をご馳走になりました。
えっと、写っているのは私ではありませんので、念のため。(^_^;)



お店の中では、まゆ人形つくりの作業中でした。でも、人形は村長さんのものが「本命」だとか。
人形は全て手作りですので、1体1体全て顔が違います。



若村長さんです。
とても親切に、お店の案内や解説をしてくださいました。




「上のお店」の横の階段を上がると、人形塾があります。
さっき見た素的なまゆ人形を、な、何と自作できるところなのです。



人形塾の教室です。
寺子屋風の、心落ち着く空間となっています。



人形塾の授業料は、1人1,300円です。1人からでもOKですが、15人以上だと1人1,000円になるんだそうです。
「少人数でも可」ということが嬉しいですね。家族連れでも、OKです。
少人数でも、こうして大きなモデルを使って分かりやすく説明してもらえます。
でも、何と!15人以上だと、村長さんがじきじきにお教えてくださることもあるそうです。
そして、村長さんのお話は超大人気だとか。
15人以上で行かれた場合に村長さんのお話が聞けない場合でも、副村長さんかベテランのスタッフの方のお話・説明を楽しんでいただけますので、ご安心を。



細かい「部品」があっても心配無用!
こうして、分かりやすい解説があるので、安心です。




これだけのセットを持って帰れます。自分で作った以外に、あと1セット人形がついています。
それがどのように出来上がるかは、あなたの腕次第。家に帰ってからのお楽しみです。



袋の中は、全て「まゆ」です。もちろん、まゆの「主」は入っていませんが。
まゆは、国産物が次第に品薄になりつつあるそうです。



かわいらしい馬です。ずっと見ていても飽きませんでした。。



どこにまゆが使ってあるか分かりますか?
こんな人形が溢れんばかりに、展示してあります。



兜です。「子どもの日」に、最適です。
「コンパクトで味がある」。これが、まゆ人形の良さです。



表情がたまらなくかわいいですね。
人形bは全て手作りなので、1体1体全て表情が異なります。大量生産ではあり得ない、希少な価値があります。



私の家の玄関には、この人形が飾ってあります。
私は、人形の中ではこれを一番気に入りました。毎日見ていても、一向に飽きません。



かわいいでしょう。



蚕の繭から、こんな素的なものができるなんて、本当に感動です。



お地蔵様。



お地蔵様。多くの子どもに囲まれて、幸せそうです。


以下、様々な人形の雰囲気をお楽しみください。
実際には、もっともっと多くの種類の人形がありますが、その一部です。



お願い地蔵
3つのお願い事が叶うお地蔵さん。葉っぱの色はいろいろ。
後ろののぼりには”嵯峨の思い出半分あげる”と入っています。




屏風つき白うさぎ
写真をクリックして拡大し、後ろの屏風の絵柄を見てください。屏風も、とてもかわいいですよ。




屏風つき白ねずみ
まゆ村の村長は子年、だからかどうか、まゆ村には3種類のねずみちゃんがいます。(白ねずみ、小ねずみ、サスペンダー付きねずみ)



相談ねずみ(手前)+たわらねずみ(奥)
これらは、”小ねずみ”を使っています。(実はこれ、小さいけれど村長の会心の作のようなんです!)
相談ねずみ−3匹のねずみが顔をつき合わせて相談事、”文殊の知恵”は出てくるかな・・・。




たわらねずみ
俵に使うまゆ(金紙に包まれています)は特大の中国種(国産)。
米俵のたくさんある家にはねずみが集まってくるように、心の中にたくさんの米俵をもっている人の周りには皆が集まってきます。




上と同じく「たわらねずみ」。



取り組み相撲
お相撲さん一人に付き最低10個はまゆを使います。
見てください、この筋肉の躍動感!
頭に使っているまゆは「小石丸」という特別小さい種類で、滅多に手に入らないそうです!この種類のまゆは「古代絹」の代表格で、昔の織物など文化財修復には欠かせないということです。










このお相撲さんは、まゆの筋肉が盛り上がってリアルですが、写真には写っていない「わらべずもう」というのがあって、これはたったひとつのまゆで、けなげでかわいいおすもうさんにでき上がっています。



お雛様
まゆでできたまろやかな、やさしいおひなさまです。
和紙で着物をきせているので、まゆの地肌はおひなさんのお顔のところにひかえめに見えているだけです。
まゆのぼんぼりも、やさしげです。
後ろの屏風は枝垂ざくら、御所車、松、文字屏風など20種類ほどあります。
お店で、おひなさんの着物にだいたい合わせて選んでおられますが、自分の手で組み合わせを変えて見ることも可能です。そうすれば、意外な発見があるかも?!




銭形平次人形
平次親分です。太秦の映画村に寄ってまゆ村に行かれた人は、この人形を見てにやっと笑ってくれるそうです。
ここには写っていない「鼠小僧次郎吉人形」を召し捕るために十手を手にしています。
お店の2階にある”まゆ村人形塾”では、この人形を手作り体験できます。




上と同じく銭形平次人形



みざる、いわざる、きかざる
君子危うきに近寄らず・・・・・。おさるさん達の表情を楽しんでください。


以下、色紙と飾りうちわです。
村長が詠んだ、一枚一枚手書きの、嵯峨にちなんだ和歌が入っています。
嵯峨は源氏の昔より、日本文学史とその歩みをともにしています。
まゆ村の和歌もその流れから生まれた、小さなせせらぎなのかもしれません。
でもこの字体、字というより何かの模様みたいで、目が慣れないと読めない(?)


竹かご色紙
ほろと咲く名もなき花という花の
              風に恥らう嵯峨染めし頬
・・・嵯峨色の風の中、嵯峨路を歩む上気したおとめたちの姿が
目に浮かぶようです。




君は空わが身は水に広沢の
             遍照寺山つながりて愛
・・・もやのかかった広沢池の水面に横たえた遍照寺山のやさしい山容を
目にしたことのある人なら、説明はいらないでしょう。



ひと時の錦を生きる紅葉より
            松の青葉となりて嵯峨めぐる
・・・一時の華やかな人生に背を向けて、地に足のついた着実な生き方を
えらびたい・・・ちょっと渋めの歌です。
この色紙は背景がちぎり絵ふう、人形の顔は正面を向いておらず、向かい合わせで
従来のものとは違うタイプです。




竹ひも付き大色紙
影折れし嵯峨踏み登る石段の
              行手の仏愛語りませ
・・・奥嵯峨の風景の一角、そのままです




扇面色紙
竹さやぐ源氏の浪漫こもれ陽に
            わが身ゆだねて目をとじゝ嵯峨
・・・嵯峨といえば源氏、まゆ村でもまゆおばさんたちが最もよく口にする
歌かもしれません。
扇面は緑、赤、紫と3色あり、歌の内容に合わせて色を変えます。
この歌は”竹”が出てくるので、緑。




飾りうちわ(だるまさん付き)
うちわにまゆ人形と村長の歌を添えたもので昔から根強い人気があります。
歌は前の「竹かご色紙」のところにも登場した「君は空に・・・」の歌。




飾りうちわ(かえるちゃんつき)
コーラスしているかえるちゃんたちの屈託のなさが、意外に激しい内容の歌を
やわらげています。
君がゆかばわれも渡らむ渡月橋
               明日は吹雪くも水逆まくも
・・・いつか、この歌の前でじっとたたずんでいたお客さんがおられたそうです。
歌は詠み人の手をはなれてから、それぞれのイメージの子どもが生まれてきます。






いかがでしたか?
京都の「隠れた名所」の一端に触れたと感じていただければ、嬉しい限りです。
なお、作品の解説につきましては、「まゆ村」様の全面的なご協力をいただいたものが数多くあります。
まゆ村様に熱く御礼申し上げます。







ホームに戻る